去り行く2012年には、医薬品監督管理に関する出来事が数多く報道された。これらの出来事は公衆の医薬品安全への関心を促し、医薬品産業の構造と動向に影響を与え、医薬品監督管理体制とそのメガニズムの建設を改めて考えるきっかけをつくってくれた。これらの出来事が起こるたびに、医薬品監督管理部門は積極的に行動をとり、人々の期待に応えられる対策を相次いで打ち出してきた。
医薬品安全のための項目別是正作業が完了
2012年元旦直後、全国医薬品安全のための項目別整頓作業総括テレビ電話会議で、衛生部、公安部、工業と情報化部、国家工商総局、国家食品医薬品監督管理局、国家漢方医薬局の6機関の提携で2年半にわたって全国範囲で実施された同作業が全体目標を期限どおりに達成し、完了したと発表された。この作業実施中の2年半に、医薬品の品質不良による重大事故はおこらず、国民の医薬品消費満足度も高まり、医薬品産業もより良くより速く発展した。
「国家医薬品安全第十二期第五ヵ年計画」の発表
2012年1月20日、国務院は各省、自治区、直轄市の人民政府、所管の各機関と各直属機構に「国務院による『国家医薬品安全第十二期第五ヵ年計画』発表に関する通知」を出した。これにより、国務院第184回常務会議で可決された「国家医薬品安全第十二期第五ヵ年計画」(以下は「企画」と略称する。)が正式に打ち出された。
「企画」は医薬品安全問題の現状を分析し、医薬品の標準、生産、流通、使用、監督管理の5つの面でこれからの5年間の医薬品安全保障作業の指導思想、基本原則と発展目標を決定し、医薬品安全分野の主要任務、重点項目と保障措置を明らかに示した。
クロム含有量が基準を超える薬用カプセルを適時に処分
2012年4月15日、中国中央テレビの番組「品質週間報告」は「カプセルの秘密」というタイトルの特別番組を放送した。この番組では、工業用皮革品の廃材からつくられた工業用ゼラチンがカプセルメーカーで使用され、クロム含有量が基準を超える薬用カプセルに加工され、この薬用カプセルがまた医薬品メーカーで医薬品に加工され、最終的に患者がこのカプセル医薬品を服用したことが報道された。また同時に、13種類のクロム含有量が基準を超える薬用カプセルも摘発された。
この番組が放送された当日、国家食品医薬品監督管理局は「メディアが摘発した13種類のクロム含有量が基準を超える薬用カプセルの使用中止に関する通知」を発表した。4月20日、テレビ電話会議が開らかれ、薬用カプセルの品質と安全に関する特別監督検査実施の計画を立てた。こうして、全国の医薬品監督管理システムはクロム含有量が基準を超える薬用カプセル事件に対し、緊急措置をとり、特別監督検査を本格的に開始した。国家食品医薬品監督管理局は8月3日までに、流通していたクロム含有量が基準を超える薬用カプセルの処分は終了し、また工業用ゼラチンを使用して薬用カプセルを生産するという違法行為が発生した6省(直轄市を含む)の政府及び監督管理部門の職務上過失に対し責任を追及し、76人の関係者が処罰を受け、数十の薬用カプセルメーカーが営業許可を取り消されたと通報した。
医薬品情報即時チェックのプラットフォームと系列製品のオンライン使用開始
2012年9月26日、国家食品医薬品監督管理局と人民検索ネット株式会社は北京で「医薬品安全情報を即時にチェック」プロジェクト立ち上げ即ち製品のオンライン使用開始イベントを主催した。当日、医薬品類関係HPの即時検索プラットフォーム、摘発専用オフィシャル・サイト、医薬助手などのソフト製品が正式にオンライン使用可能になった。
以上の製品はいずれもパソコンとスマートフォンで使用でき、権威性と利便性を持ち、双方向対話性が強いという特徴がある。また、そのデータは国家食品医薬品監督管理局が提供することから、情報源も安定したもので、即時性を有し、信憑性も高い。国家食品医薬品監督管理局は、インターネット会社と協力し検索エンジン技術を医薬品情報の分野で活用するのは今回が初めてで、公衆のために権威ある医薬品情報チェックの場を構築し、検索エンジンによる民生用製品をつくる先駆けになった。
広東省が医薬品審査評価改革を試行へ
2012年11月月初、国家食品医薬品監督管理局は、広東省が医薬品審査評価改革を試行することを許可した。広東省政府と国家食品医薬品監督管理局は3月にすでに「広東省食品医薬品安全監督管理先行地区の共同建設に関する覚書」に調印した。これにより、広東省食品医薬品監督管理局は国家食品医薬品監督管理局から許可を得て、所管行政区域内の新薬開発技術譲渡、医薬品生産技術譲渡、一部の省間医薬品生産委託業務に関する審査と評価を実施ことになった。
エフェドリン類使用医薬品を管理するため、実名認証などの新しい購入制限策を導入
2012年9月4日、国家食品医薬品監督管理局、公安部、衛生部は共同で「エフェドリン類使用複方製剤管理の強化に関する通知」を発表し、エフェドリン類使用医薬品管理の新しい政策を導入した。同通知は、既存の監督管理措置の実施を求めるうえ、処方箋で購入する購入量を2パック(最小サイズ)以内に制限し、販売する場合には実名認証しなければならず、添付文書、ラベル、包装の表記を定められた期間内に修正しなければならないなど、エフェドリン類使用薬品に関する新しい措置を決定した。いずれもより力強くて強制的な手段を通し、エフェドリン類使用複方製剤が麻薬生産などの違法行為で使われることを防ぐためである。
ジェネリック医薬品品質評価が開始
2012年11月22日、国家食品医薬品監督管理局は「ジェネリック医薬品品質評価作業マニュアル(意見募集用バージョン)」を発表し、国民に意見を募集することにした。8年をかけて、時期別に基本医薬品、臨床常用のジェネリック医薬品とその先発医薬品の比較研究を全面的に展開すると計画し、ジェネリック医薬品と先発医薬品の品質が同じレベルに達することを実現の目標としている。意見募集の締め切りは12月の初めになっている。その結果は締め切り後すぐに発表されるという。
混乱した漢方薬材市場を本格的に規制へ
2012年4月中旬、国家食品医薬品監督管理局は「漢方薬材専門市場監督管理強化に関する通知」を発表し、漢方薬材専門市場監督管理作業の責任と内容を明らかにした。5月17日、同局は「漢方薬材専門市場特別規制作業の実施に関する通知」を発表し、半年をかけて漢方薬材専門市場に対する特別規制作業を実施するよう求めた。その直後、同局の呉湞、辺振甲副局長は別々にチームを率い、前後して安徽毫州、河北安国、甘粛黄河という全国でも有名な漢方薬材の産地で漢方薬材市場に対する特別規制作業を行った。7月18日、同局は「漢方薬生産経営秩序の規範化と違法行為による罰則に関する通知」を発表し、漢方薬材専門市場における違法行為に対し厳しく処罰するようより強く要請した。
こうすることで、漢方薬材専門市場で偽造医薬品や粗悪医薬品などを生産、販売する違法行為に対し厳しく処罰を行い、漢方薬材市場秩序を規範化させ、公衆の医薬品使用安全のための特別規制作業も次第に全国で計画的に実施されるようになった。
医薬品添加剤の監督管理が原薬の監督管理に合わせて実施へ
2012年8月2日、国家食品医薬品監督管理局は「医薬品添加剤の監督管理強化に関する規定」を公表する記者会見を開いた。8月3日、同局の尹力局長は問題になった医薬品用カプセルのための緊急対策をとりながら問題再発の防止策も考えようというテーマで、新華社通信のインタビューに応じ、公表したばかりの「医薬品添加剤の監督管理強化に関する規定」に関する権威ある解釈を行った。
「医薬品添加剤の監督管理強化に関する規定」は医薬品メーカー、医薬品添加剤メーカー、監督管理部門のそれぞれの役割と医薬品添加剤の監督管理モデルを明確に決定し、情報公開、監督管理の拡大、社会による監督などのために体制を整えることも求めた。同規定は2013年2月1日より実施開始される。
医薬品の監督管理が全品目で電子化へ
2012年2月27日、国家食品医薬品監督管理局は、「2011年-2015年医薬品の電子監督管理に関する企画」を発表し、2015年までにすべての医薬品の監督管理の電子化を実現させることを目標とした。また、9月20日、「医薬品の電子監督管理に関する指導的意見」を発表した。さらに、9月29日、輸入医薬品に対する電子監督管理について国民に意見を募集した。これらの作業によって、2006年の特殊医薬品から始まった医薬品監督管理の電子化は医薬品の全品目をカバーするようになった。
(出所:医薬経済報2012-12-26)