2017年12月28日、国家食品医薬品監督管理総局は「医薬品イノベーション奨励と優先審査承認実施に関する意見」を発表した。全文は以下のとおりである。
各省、自治区、直轄市食品医薬品監督管理局、新疆生産建設兵団食品医薬品監督管理局:
医薬品登録管理を強化し、臨床的価値を持つ新薬と至急の臨床ニーズがあるジェネリック医薬品の開発と上市を速め、ドラッグ?ラグを解消するために、以下のとおりに意見をまとめた。
一、優先審査承認の範囲
(一)顕著な臨床的価値を有し、且つ以下の状況の一つにある医薬品の登録申請。
1、中国国内及び国外で、まだ上市、販売していない創薬の登録申請。
2、中国国内に移転して生産された創薬の登録申請。
3、先進的製剤技術、独創的治療手段、顕著な治療上のメリットを持つ医薬品の登録申請。
4、特許有効期限満了まで3年の医薬品の臨床試験申請と特許有効期限満了まで1年の医薬品の生産申請。
5、申請者がアメリカとEUで臨床試験を同時に申請し、且つ臨床試験の実施承認を取得された新薬の臨床試験申請、および中国国内の同一生産ラインで生産され、アメリカとEUで上市を同時に申請し、現場検査に合格した医薬品の登録申請。
6、重篤疾病の予防と治療で明確な役割を果たす漢方薬(民族薬を含む)の登録申請。
7、国家科技重大特別プロジェクト、国家重点開発計画に入選し、および国家臨床医学研究センターによる実施する臨床試験、中核管理部署が認定した新薬の登録申請。
(二)以下の疾病の予防と治療で、顕著な臨床的メリットを持つ医薬品の登録申請。
1、エイズ。
2、肺結核。
3、ウィルスによる肝炎。
4、希少疾患。
5、悪性腫瘍。
6、小児用医薬品。
7、高齢者特有、多発疾患。
(三)その他
1、ジェネリック医薬品品質一致性評価で、承認済み生産手順を変更する必要があるという場合の補充申請。
2、「医薬品臨床試験データ自主チェック?照合検査の実施に関する公告」(国家食品医薬品監督管理総局公告2015年第117号)の自主チェック項目に入り、申請者が自ら登録申請を撤回し、品質と治療効果が先発医薬品と一致するという基準であらためて申請するジェネリック医薬品登録申請。
3、至急の臨床ニーズがあり、且つ市場供給不足な医薬品の登録申請。具体的な品目リストは国家衛生計画生育委員会と工業?情報化部が作成し、国家食品医薬品監督管理総局医薬品審査センター(以下「薬審センター」と略称。)の関係部署と専門家が検証を行った上で、確定される。
4、国民健康がひどく脅かされる状況で、強制許可を取得した医薬品の登録申請に関しては、優先審査承認を行うこととする。国民健康への重大脅威と判断する基準および強制許可実施手順は、国家衛生計画生育委員会が関係機関と共同で定める。
二、優先審査承認実施手順
(一)申請。登録申請が薬審センターに送致した後、申請者は「申請者の窓」を通して薬審センターに優先審査承認を申請し(申請表は別添1参照)、品目情報と優先審査承認申請の理由を説明しなければならない。
(二)審査論証。申請者が優先審査承認実施を要請する場合、医薬品審査センターは専門家に審査?論証を依頼し、論証の結果と理由および優先審査承認実施予定品目の情報を公開する。公開期間の5日(勤務日を指す。以下同様。)以内に異議が申し立てられなかったなら、優先審査承認を実施する。異議があれば、関係者は5日以内に薬審センターに書面で意見を出し、理由を説明しなければならない(異議申立表は別添2を参照。)。薬審センターは10以内に検証を行い、結果を各関係者に知らせる。
至急の臨床ニーズがあり、供給不足であるジェネリック医薬品の場合、当該品目の優先審査承認情報公開日から、活性成分と投与ルートが当該品目と同様である品目の優先審査承認申請を受理しないものとする。
(三)審査。薬審センターは優先審査承認実施予定リスト入りした医薬品登録申請に対し、申請資料を同センターに移送する時間順によって審査を行う。
1、新薬臨床試験申請。
臨床試験申請を行う前に、申請者は既存の研究データが第Ⅰ相試験の証左になっているかどうか、被験者のリスクを制御できるかどうかなどに関する重大な技術的問題について、薬審センターとのコミュニケーションを要請できる。薬審センターは審査チームを立ち上げ、要請を受けてから30日以内に、コミュニケーション会を開催し、コミュニケーションの結果と確定事項を議事録にまとめる。
申請前に十分なコミュニケーションを行い、申請資料が規範化し、完全であることを前提に、薬審センターは、当該新薬が優先審査承認品目になった日から起算して10日以内に、審査を稼働する。
第Ⅰ、Ⅱ相試験完了後、申請者は速やかに試験結果報告書および次期臨床試験プロトコールを提出しなければならない。薬審センターは資料受領後の30日以内に申請者とのコミュニケーションを手配する。安全性問題が発覚されなかった場合、コミュニケーション後に次期臨床試験を実施できる。上市済み医薬品より明らかに優れていることを証明できなかったという試験結果になった場合、当該品目の優先審査を行わないものとする。
希少疾患またはその他特殊疾病の治療薬の場合、臨床試験申請時に、臨床試験症例数の減少と臨床試験免除を申し込むことができる。薬審センターは技術審査のニーズと中国患者の実情に基づいて同意の可否を決める。
2、新薬生産登録申請。
新薬生産申請を提出する前に、申請者は既存の研究データが新薬生産申請の証左になっているかどうかについて薬審センターとコミュニケーションを行う。薬審センターは申請受理後の30 日以内に、申請者とのコミュニケーション会を手配する薬審センターは関係品目の生産申請が優先審査承認実施リストに入った日から起算して10日以内に、技術審査を稼働する。申請資料に関する異議があり、もしくは補充資料の提出が必要と判断された場合、薬審センターは申請者に一括で提出必須資料の内容を知らせる。また、補充資料受領後の5日以内に、技術審査を改めて稼働する。
薬審センターは技術審査完了後、直ちに総局食品医薬品査察センター(以下、査察センターと略称。)と申請者に生産現場査察実施を知らせる。現場査察は薬審センターが通知してから20日以内に行わなければならない。また、査察の結果は査察完了後10日以内に作成し、薬審センターに提出しなければならない。現場ぬ出したサンプルは、採取後5日以内に医薬品検査検定機関に送らなければならない。医薬品検査機関は速やかにサンプルの検査検定を行い、90日以内に検査結果を出さなければならない。
3、ジェネリック医薬品登録申請。
薬審センターはジェネリック医薬品が優先審査承認リストに入った日から起算して10以内に、審査を稼働する。補充資料の提出が必要である場合、薬審センターは一括で申請者に提出必須資料の内容を知らせる。また、補充資料受領後の5日以内に、審査を改めて稼働する。
4、生命をひどく脅かす疾病の治療に使用し、臨床ニーズの満足に重大な意義を持つ新薬で、且つそれ以外の治療手段がない場合、申請者は準備完了後、随時に薬審センターにコミュニケーションを申し込むことができ、関係審査員は10日以内にコミュニケーション会を開催する必要がある。臨床試験の段階で、薬審センターは申請者とのコミュニケーションを継続し、新薬臨床試験の実施を指導する。早期臨床試験のデータで、当該医薬品が現有の治療手段より明らかに優れると合理的に予測、判断できるなら、第Ⅲ相確証性臨床試験を行う前に、条件付きで上市を承認できる。
(四)報告書の提出。薬審センターは生産現場査察報告書とサンプル検査結果報告書受領後の5日以内に、総合審査報告書を作成する。また、報告書完成後の3日以内に、総局に提出しなければならない。総合審査で再審査必須と判断された場合、具体的な状況によって優先審査を行なわれる。
(五)承認。食品医薬品監督管理総局は薬審センターが提出した審査報告資料を受領してから10日以内に、承認の可否を決定する。
三、優先審査承認業務の要求事項
(一)優先審査承認実施対象になった新薬登録申請に関しては、薬審センターは申請者とのコミュニケーション体制を確立し、オンライン問い合わせのプラットフォームを立ち上げなければならない。総局は臨床試験データの信憑性を先に確認?検査する。
(二)優先審査承認実施対象である医薬品の確認を行う際に、当該品目の原薬と製剤の申請を同時に行うよう注意しなければならない。原薬と製剤の申請を受理する時間が異なる場合、遅いほうの時間を判断の基準とする。
(三)優先審査承認の申請を行う前に、申請者は申請資料が関係技術原則と要求事項に適合するよう確保し、現場査察を受ける準備を行わなければならない。申請資料の重大な欠陥が存在し、臨床試験データの信憑性問題があり、もしくは現場査察が予定どおりに受けない、又は検査検定用サンプルに送付しない等の場合、不承認と直接決定する。申請資料の信憑性問題がある場合、3年以内に、当該申請者によるほかの品目の優先審査承認申請を受理しないものとする。
(四)技術審査のプロセスで、優先審査承認実施リスト入りした品目の申請資料が優先審査承認実施条件を満たしていないと発覚した場合、薬審センターは当該品目の優先審査承認を中止し、通常の順番に従って審査を行う。
(五)臨床ニーズがあり、アメリカ、EUおよび中国周辺地域で上市した輸入小児用医薬品の場合、海外で取得した臨床試験データも中国における医薬品登録申請で使用できる。
(六)受理と査察を担当する各級食品医薬品監管部門は、医薬品登録申請の受理、審査、研究開発現場査察と(または)生産現場査察に注力し、優先審査承認条件に満さない医薬品登録申請が優先審査承認プロセスに入ることを防止しなければならない。
(七)公的健康危機の応急措置として、必須な医薬品の登録申請に関しては、関係規定と手順に従って行う。
本意見は発表日から実施開始になる。本意見の実施に伴い、2016年2月に発表された「食品医薬品監管総局によるドラッグ?ラグ問題解決と優先審査承認実施の意見」(食薬監薬化管〔2016〕19号)は廃止する。
別添:1、医薬品登録申請優先審査承認申請表
(出所:CFDAサイト 2017-12-28)