国家食品医薬品監督管理総局は「国務院による医薬品医療機器審査承認制度改革の意見」(国発〔2015〕44号)における関係要求事項に基づき、一部の医薬品登録申請関係臨床試験データのねつ造、改ざん問題に対処するために、2015年7月22日に「医薬品臨床試験データ自主チェックと照合査察の実施に関する公告」(2015年第117号)を発表し、生産または輸入申請が行われた医薬品の臨床試験データに対する照合査察を行った。その後、総局は相ついで「8社企業による11件医薬品登録申請の不許可に関する公告」(2015年第229号)、「14社企業による13件医薬品登録申請の不許可に関する公告」(2015年第260号)、「7社企業による6件医薬品登録申請の不許可に関する公告」(2015年第92号)を発表した。それらの公告で記述した医薬品臨床試験データの改ざん、ねつ造、不完全、不規範化などの問題は、いずれも「中華人民共和国医薬品管理法」およびその実施条例と「医薬品臨床試験品質管理規範」(GCP)における関係規定に違反し、医薬品安全性と有効性を損なう潜在的なリスクをもたらし、公共安全にも大きく影響した。2017年5月24日、国家食品医薬品監督管理総局は「医薬品臨床試験データ照合査察関係問題対処意見に関する公告」を発表し、医薬品臨床試験データの照合査察で発覚した問題の処理に関する意見を以下のとおりに公告した。
一、申請者、医薬品臨床試験機関と合同研究機関の責任。
(一)申請者は医薬品登録申請者と権利者で、登録申請における臨床試験データの真実性、完全性と規範化を確保し、臨床試験の実施を監督し、提出した申請資料および関係試験データの信憑性に関する法的責任を負わなければならない。
(二)研究者は申請者の委託を受けて臨床試験を実施するため、試験の行為がGCPに適合し、試験データが真実性、完全性、規範性および追跡可能性を持つよう確保し、試験データの真実性、完全性、規範性に関する法的責任を負わなければならない。臨床試験機関は医薬品臨床試験の直接管理者で、臨床試験データの真実性、完全性と規範化に関する監督管理の責任を負わなければならない。
(三)臨床試験合同研究機関は申請者の委託を受けて臨床試験関係業務を担当するため、臨床試験データの真実性、完全性、規範化に関する法的責任および契約書で定めた責任を負わなければならない。また、自ら提出した報告書とデータに関する法的責任を直接に負わなければならない。
二、GCP第六条、二十条、二十六条、二十七条、四十条、四十八条、四十九条、六十二条などに違反した以下の行為の一つをおかした場合、データねつ造とする。
(一)被験者情報および試験データ、試験記録、試験関係医薬品情報をねつ造、もしくは合理的な理由なしで修正すること。
(二)標準製剤を試験用製剤の代わりに使用し、試験用製剤を標準製剤の代わりに使用し、もしはく市販の医薬品を購入して自主開発の試験用医薬品の代わりに使用し、およびその他の医薬品を試験用医薬品の代わりに使用すること。
(三)試験データを隠ぺいし、合理的な理由なしで試験データを使用せず、もしくはその他方法で試験実施案に違反して試験データを選択的に使用すること。
(四)臨床試験用医薬品とかかわる重篤副作用を報告せず、もしくは臨床試験用医薬品との関連性を持つ可能性のある重篤副作用を報告しないこと。
(五)試験プロトコールで同時使用禁止と定めた医薬品をひそかに使用すること。
(六)臨床試験データまたはデータ保存用道具をわざと毀損、隠すこと。
(七)その他臨床試験データの真実性をわざと損なうこと。
三、照合査察で申請者、医薬品臨床試験機関、合同研究機関の直接責任者と主要研究者が第二条であげたデータねつ造行為をおかしたと発覚した場合、国家食品医薬品監督管理総局は以下の原則に従って対処する。犯罪疑惑があった場合、司法機関に移送する。
(一)2015年11月11日に「医薬品登録審査承認関係若干政策に関する公告」(国家食品医薬品監督管理総局公告2015年第230号。以下「第230号公告」と略称。)が発表された後、照合査察で臨床試験データのねつ造を発覚した場合、「中華人民共和国医薬品管理法実施条例」第六十五条に基づき、行政的処分または行政的処罰が決定された日から起算して3年以内に当該申請者による当該品目の登録申請を受理しないこととする。
(二)第230号公告発表後に、照合査察で医薬品臨床試験データねつ造が発覚された申請者に関しては、行政的処分または行政的処罰が決定された日から起算して1年以内に当該申請者によるあらゆる医薬品登録申請を受理しないこととする。受理済み申請は不承認とする。
処罰期間中、緊急な臨床ニーズに応えるための医薬品を上市させる必要があり、当該申請者が関係規定に基づいて申請を行う場合、国家食品医薬品監督管理総局医薬品審査センター(以下「薬審センター」と略称)は専門家を招いて、検討をした後、総局に報告する。総局は決定を出す。
(三)第230号公告発表後に、照合査察で医薬品臨床試験データねつ造にかかわったと発覚された臨床試験機関に関しては、ねつ造問題にかかわった分野で一定期間内に是正を行うよう命じる。是正期間中は医薬品臨床試験を引き受けてはならず、引き受けた臨床試験は症例数を増やしてはならない。是正完了まで、当該機関が参与した研究の資料はいっさい受領しない。是正完了後、第三者機関の評価を受けたうえで、国家食品医薬品監督管理総局に臨床試験実施資格の再度取得を申請できる。検査を受けて合格すれば、臨床試験の資格を回復できる。合格しなかったなら、以前取得した資格も取り消される。
主要研究者が研究に参与した受理済み登録申請に関しては、いずれも審査承認を中止する。
臨床試験機関が1つの分野における2種類およびそれ以上の臨床試験でデータねつ造を行った場合、当該分野のあらゆる臨床試験データを使用する受理済み登録申請の審査承認を中止する。
臨床試験機関が3種類およびそれ以上の臨床試験でデータねつ造を行った場合、当該機関の臨床試験実施資格を取り消し、当該機関が臨床試験を実施したあらゆる受理済み登録申請の審査承認を中止する。
(四)第二条であげたデータねつ造行為にかかわった医薬品品目に関しては、国家食品医薬品監督管理総局はその登録申請者の法定代表者および登録申請資料に署名した関係責任者を直接に処罰する。ほかにも責任者が存在すると考えれば、申請者は本公告発表後1カ月以内に国家食品医薬品監督管理総局に事情を詳しく報告できる。国家食品医薬品監督管理総局は確認後、対処する。
(五)本条第三項に基づいて審査承認が中止された医薬品品目の詳細に関しては、国家食品医薬品監督管理総局は関係申請者に知らせ、社会に公開する。申請者が通知書受領後15日以内に国家食品医薬品監督管理総局に申請撤回を申し込む場合、自主的申請撤回と見なし、関係政策に基づいて処理する。自らの臨床試験データが真実であると信じ、合理的な説明を行い、証拠も提供できる場合、申請者は国家食品医薬品監督管理総局に現場査察を申請できる。査察でデータが真実であると確認すれば、関係申請の審査承認を続けるが、データねつ造と判断すれば、関係法律に基づき処罰を行う。
(六)臨床試験データが不完全で、規範化ではなく、医薬品の安全性と有効性を十分証明できない場合、当該医薬品の登録申請は不承認とする。データが規範化していないという問題だけが存在し、且つ資料を追加で提出して改善できる場合、国家食品医薬品監督管理総局は申請者に一括で資料を追加で提出するよう求める。追加提出後に関係手順に従って審査承認を行う。
(七)第二条に基づいて医薬品臨床試験データねつ造を行ったと判定された医薬品登録申請者およびその組織機構コード、プロジェクト責任者、監督審査員、その他直接責任者のリスト、臨床試験機関リストとその組織機構コードおよび研究者とその他直接責任者のリスト、合同研究機関リストとその組織機構コード、プロジェクト責任者、監督審査員、その他直接責任者のリストに関しては、国家食品医薬品監督管理総局が申請者、臨床試験機関、合同研究機関に対する処罰を決定する際に、すべて社会に公開し、ブラックリストに入れる。
四、以下の状況の1つがある場合、医薬品臨床試験機関に是正を命じる。是正期間中は医薬品臨床試験をいっさい引き受けてはならない。引き受けた試験は症例を増やしてはならない。要求どおりに是正を行わない場合、法律に基づき処罰を行う。
(一)被験者に説明し、同意を得ず、もしくは被験者が説明同意書に署名しなかったままで、試験プロトコールに従わず、被験者に臨床試験を実施した場合。
(二)臨床試験プロセスで潜在的な安全上リスクが存在するとわかっていても有効的な措置で被験者を保護せず、被験者の安全に影響をもたらした場合。
(三)試験用医薬品を適切に保存、使用しなかったため、被験者の安全に影響をもたらした場合。
(四)医薬品臨床試験の一部の作業を勝手に関係資格を持っていない機関と人員に委託し、被験者の権益、安全および試験の結果に影響をもたらした場合。
(五)その他関係法律、法規と医薬品臨床試験品質管理規範に違反して行った臨床試験で、被験者の権益、安全および試験データの品質に明らかに影響をもたらした場合。
五、重罰、軽罰、処罰の軽減と免除について。検査を拒否、逃避、妨害する場合、法律に基づき重罰を行い、関係者の情報をブラックリストに入れる。監管機関の調査と検査に積極的に協力し、問題のある登録申請に関する説明を速やかに行い、対処する場合、法律に基づき軽罰し、もしくは処罰を軽減できる。
国家食品医薬品監督管理総局による公告の要求に従い、主動的に調査を行い、主動的に問題点と調査の結果を報告し、主動的に申請を撤回する場合、行政的処罰を免除できる。
(一)申請者が査察開始前に自ら登録申請を撤回する場合、「医薬品臨床試験データ自主チェック状況に関する公告」(国家食品医薬品監督管理総局公告2015年第169号)に基づき、行政的処罰を免除できる。また、申請者は「医薬品臨床試験データ自主チェック?照合査察による申請撤回後再度申請関係事項の公告」(国家食品医薬品監督管理総局公告2016年第113号)における関係要求に従って臨床試験を再開し、もしくは改善することが可能である。
(二)臨床試験機関、合同研究機関が自主チェックでデータが真実ではないと発覚し、具体的な品目、申請者の名称および具体的な問題点を国家食品医薬品監督管理総局と所在地の省級食品医薬品監督管理局に主動的に報告し、と同時に、申請者に知らせる場合、行政的処罰は免除できる。
現場査察計画のオンライン公示を行う前に、国家食品医薬品監督管理総局は真実ではないデータにかかわる品目の情報を医薬品登録申請者に知らせる。申請者は知らせを受ける日より15日以内に国家食品医薬品監督管理総局と所在地の省級食品医薬品監督管理局に申請撤回を申し込む場合、自主撤回として対処される。申請撤回を申し込まず、且つ国家食品医薬品監督管理総局による現場査察で臨床試験機関と合同研究機関の報告には問題があると確認できた場合、法律に基づき重罰を行う。
六、処理および当事者の救済権について。
データねつ造行為に対する処罰は、国家食品医薬品監督管理総局査察局と食品医薬品検査査察センター(以下「査察センター」と略称。)、医薬品審査センターが共同で国家食品医薬品監督管理総局の名義で決定する。完全性、規範化問題への対処処置は、国家食品医薬品監督管理総局化粧品登録局司と査察センター、医薬品審査センターが共同で国家食品医薬品監督管理総局の名義で決定する。処罰決定の前に上記部署が書面陳情の形で当事者の意見を聴収するため、当事者は3日以内に書面陳情を行わなければならない。当事者の説明および説明の受け入れた内容に関しては、処罰決定と共に公開する。処罰に関する不服を申し立てる場合、当事者は法律に基づき行政不服審査を申請し、もしくは行政訴訟をおこすことができる。国家食品医薬品監督管理総局は法律に基づき行政不服審査を行い、必要に応じて公聴会を開催し、もしくは専門家委員会の意見を聴取できる。
(出所:CFDAサイト2017-05-24)