2016年2月26日、国家食品医薬品監督管理総局は各省、自治区、直轄市の食品医薬品監督管理局、新疆生産建設兵団食品医薬品監督管理局に向け「ドラッグラグ問題解決と優先審査承認の実施に関する意見」を発表した。その全文は以下のとおりである。
医薬品登録管理を強化し、臨床価値を持つ新薬と臨床特需であるジェネリック医薬品の研究、開発、上市を加速化させ、ドラッグラグ問題を解決するために、以下の意見を提出する。
一、優先審査承認の範囲
(一)顕著な臨床価値を持ち、以下の状況の一つに当てはまる医薬品登録申請。
1、中国国内と海外で市販されていない創薬の登録申請。
2、中国国内に移転して、生産した創薬の登録申請。
3、先進的な製剤技術、独創的な治療手段を使用し、顕著な治療上のメリットを持つ医薬品の登録申請。
4、特許期間満了まで3年の医薬品臨床試験申請と特許期間満了まで1年の医薬品生産申請。
5、申請者がアメリカ、欧州連合で同時に申請を行い、薬物臨床試験承認を取得した新薬の臨床試験申請。中国国内で同一生産ラインで生産され、アメリカ、欧州連合の医薬品審査承認機構に同時に上市申請を行い、現場検査にも合格した医薬品の登録申請。
6、重大疾病の予防と治療で臨床応用における位置づけがはっきりした漢方薬(少数民族伝統医薬品も含む。)の登録申請。
7、国家科技重大専門プロジェクトまたは国家重点研究開発計画に入選された新薬の登録申請。
(二)以下の疾病の予防と治療で使用され、顕著な臨床上のメリットを持つ医薬品の登録申請。
1、エイズ。
2、肺結核。
3、ウィルス性肝炎。
4、稀少疾病。
5、悪性腫瘍。
6、小児医薬品。
7、高齢者の特有、多発的疾病。
(三)その他
1、ジェネリック医薬品の品質一致性評価で、承認済み生産技術と手順を変更して改めて申請する必要とする補充申請。
2、内容が「薬物臨床試験データ自主チェック・照合検査業務の実施に関する公告」(食品医薬品監督管理総局2015年第117号)で自主チェック・照合検査項目としてあげられ、申請者が自ら撤回し、先発医薬品の品質と治療効果との一致性を標準とし、改善したうえで、改めて行うジェネリック医薬品の登録申請。
3、臨床特需で、市場でも不足している医薬品の登録申請。具体的な品目リストは国家衛生計生委員会、工業と情報化部が提出し、食品医薬品監督管理総局医薬品審査センター(以下「薬審センター」と略称。)が関係機関と専門家に依頼して検討したうえで、確定する。
二、優先審査承認の手順
(一)申請。登録申請が薬審センターに入った後、申請者が「申請者の窓」を通して薬審センターに優先審査承認申請を行い(申請表は付録1を参考に)、品目情報および優先審査承認を申請する理由を説明すること。
(二)確認検査。申請人の提出した優先審査承認申請に対し、薬審センターは毎月、専門家を召集して検討と論証を行い、審査結果と理由および優先審査承認実施予定品目に関する具体的な情報を公開する。公開開始後の5日(業務日を指す。以下同様。)以内に異議が申し立てられなかった場合、優先審査の手順に入る。公開品目について異議を申し立てる場合、公開開始後の5日以内に薬審センターに書面で意見を提出し、理由も説明する必要がある(異議表は付録2を参考に)。薬審センターは10日以内に論証を組織し、決定を出し、その結果を各関係者に知らせる。
臨床特需で、市場でも不足しているジェネリック医薬品の申請の場合、当該品目が公開された日以降、活性成分と投与ルートが類似する新規申請品目の優先審査承認申請を受取らない。。
(三)審査。薬審センターは優先審査承認の対象になる医薬品の登録申請に対し、センターに入った順番によって優先順位を決め、審査を行う。
1、新薬臨床試験の申請。
申請者は臨床試験登録申請を行う前に、既存の研究データで実施予定のⅠ期臨床試験を支えられるかどうか、臨床試験被験者にかかわるリスクが制御可能であるかどうかなど重大な技術的問題について、薬審センターとの意見疎通を申し込むことができる。薬審センターは意見疎通の申請を受った後、審査チームを組み、基本的な意見を出し、30日以内に申請者との意見交換を手配する。意見交換の結果と確定事項をその場で会議議事録にまとめる必要がある。
申請前に充分な意見疎通を行い、申請資料も完全で規範に合うという前提で、薬審センターは臨床試験登録申請が優先審査承認の対象とされた日以降10日以内に技術審査を始める。
Ⅰ期、Ⅱ期臨床試験完了後、申請者は速やかに試験結果および次期臨床試験方案を提出しなければならない。薬審センターは資料受領後30日以内に申請者との意見交換を行う。安全性問題が発覚されなかった場合、薬審センターに認めれたうえで、次期臨床試験を入ることができる。試験した結果、市販した薬物より優れたことが示されなかった品目の場合、これ以上優先しない。
稀少疾病またはその他特殊病気の場合、臨床試験申請時に臨床試験症例数の削減または臨床試験申請免除を申し込むことができる。薬審センターは技術審査の需要および中国患者の実情によって申請を認めるするかどうかという審査意見を出す。
2、新薬生産登録申請。
新薬生産登録申請を行う前に、申請者は既存の研究データが新薬生産申請を支えられるかどうかについて薬審センターと意見疎通をしなければならない。薬審センターは申請を受けた後の30日以内に申請者との交流会を開催する。薬審センターは関係医薬品登録申請が優先審査承認リストに入れられた日から10日以内に技術審査を始める。申請資料に対する異議がありもしくは内容の補充が必要である場合、補充事項について申請者に一括で告知しなければならない。薬審センターは補充資料受領後の5日以内に技術審査を再開する。
技術審査完了後、薬審センターは直ちに食品医薬品監督管理総局食品医薬品査察検査センター(以下「検査センター」と略称。)と申請者に生産現場検査を行うよう通知する。現場検査は薬審センターが通知を出した後の20日以内に実施し、検査の結論は検査完了後の10日以内に出し、薬審センターに送付するする必要がある。抜取現場検査のサンプルは5日以内に医薬品検査機構に提出しなければならない。医薬品検査機構はサンプルの検査を優先し、最長90日以内に検査の結論を出さなければならない。
3、ジェネリック医薬品登録申請。
薬審センターはジェネリック医薬品登録申請が優先審査承認リストに入れられた日から10日以内に技術審査を始める。申請者から補充資料を提出する必要がある場合、補充事項について一括で告知しなければならない。薬審センターは補充資料受領後の5日以内に技術審査を再開する。
4、生命にかかわり、かつ有効的な治療手段もまだない重篤疾患の治療、臨床需要の満足に重要な意味を持つ新薬の場合、申請者は準備整備後、いつでも薬審センターの関係者と面会して意見を交換することを申し込むことが可能で、審査職員は10日以内に意見交換のための会議を開催しなければならない。臨床試験の実施段階では、薬審センターは申請者との連絡を保持し、新薬試験が捗るよう指導して促進しなければならない。早期臨床試験データで臨床試験のメリットと既存の治療手段より優れていることを予測または判断できるなら、Ⅲ期確証取得臨床試験完了前に条件付きで市販を承認できる。
(四)報告。薬審センターは抜取生産現場検査報告とサンプル検査結果を受けた後の5日以内に総合審査報告書を作成し、3日以内に食品医薬品監督管理総局に提出する。総合審査プロセスで再審査する必要があると判断された場合、具体的な状況によって優先手配する。
(五)承認。食品医薬品監督管理総局は薬審センターが提出した審査資料を受領した後の10日以内に承認の可否を決定する。
三、優先審査承認業務の要求
(一)優先審査承認を行う新薬登録申請に対し、薬審センターは申請者と意見疎通会議及びオンライン問い合わせのプラットフォームを立ち上げる必要がある。審査職員は申請者と私的なコミュニケーションを行ってはいけない。優先審査承認を行う医薬品登録申請の場合、食品医薬品監督管理総局は薬物臨床試験データの信憑性に関する照合査察を優先的に行う。
(二)優先審査承認を行う医薬品を査定する際に、原料と製剤の関連申請を行うなら、両方の申請を同時に行わなければならない。両方の申請を受理した時間が違うなら、遅れたほうの時間に準ずる。
(三)申請者は優先審査承認申請を行う前に、申請資料が関係技術原則の要求に適うよう確保し、現場検査を受ける準備もしなければならない。申請資料に比較的に大きな欠陥があり、臨床試験データの信憑性問題がありもしくは予定どおりに現場検査を受けなかったか、サンプルを提出しなかった場合、不承認と直接決定する。申請資料に信憑性問題がある場合、3年以内に当該申請者によるその他品目の優先審査承認申請を受理しないとする。
(四)技術審査のプロセスで、優先審査承認範囲内品目の申請資料が優先の条件を満たさなかったと発覚した場合、薬審センターは当該品目の優先審査を中止し、通常の審査序列に戻させ、改めて審査の順番に並べる。
(五)臨床需要があり、アメリカ、欧州連合および我国周辺地域で市販されている輸入小児医薬品の場合、海外で完了した関係臨床試験のデータも国内での医薬品登録申請で使用できる。
(六)受理と査察を担当する各級食品医薬品監督管理機関は関係医薬品登録申請の受理、審査、開発現場検査と(又は)生産現場検査に力を入れ、審査の条件を満たさなかった医薬品の登録申請が審査の段階に入ることを防止しなければならない。
(七)突発的公共衛生事件の至急対処に必要な医薬品の登録申請の場合、関係規定と手順によって行う。
付録:1、医薬品登録申請優先審査承認申請表
2、医薬品登録申請優先審査承認品目異議表
(出所:CFDAサイト2016-02-26)