2016年5月26日、国務院弁公庁が「医薬品上市許可保有者制度試行案」(国弁発〔2016〕41号)を発表し、医薬品上市許可保有者制度の試行業務を割り当てた。北京、天津、河北、上海、江蘇、浙江、福建、山東、広東、四川など10省(直轄市)で試行する予定である。
医薬品上市許可保有者制度試行案
「全国人民代表大会常務委員会による一部地域における医薬品上市許可保有者制度試行のための国務院への授権と関係問題に関する決定」に基づき、北京、天津、河北、上海、江蘇、浙江、福建、山東、広東、四川など10省(直轄市)で医薬品上市許可保有者制度を試行することになる。試行関係業務をきちんと実施するために、以下のとおりに方案を制定した。
一、試行の内容
試行を実施する行政区域における医薬品研究開発機構または研究者は医薬品登録申請者(以下「申請者」と略称)として、薬物臨床試験申請と医薬品市販申請を行うことができる。医薬品市販許可および医薬品承認書番号を取得した場合、申請者は医薬品上市許可保有者(以下「保有者」と略称)となる。法律と法規で規定された薬物臨床試験と医薬品生産上市関係法的責任については、申請者と保有者が適当に果たすことになる。
保有者が関係生産資格を有していない場合、試行を実施する行政区域における関係生産資格を持つ医薬品生産企業(以下「受託生産企業」と略称)に上市許可取得済み医薬品の生産を委託しなければならない。保有者が関係生産資格を有している場合、自ら生産し、もしくは受託生産企業に生産を依頼できる。
医薬品登録申請の審査承認期間中または承認後、申請者または保有者は補充申請を提出し、申請者、保有者または受託生産企業の変更を行える。
二、試行関係医薬品の範囲
(一)本試行案実施後に上市承認した新薬。具体的には、1、現行の「医薬品登録管理弁法」の登録分類に準じて申請した化学医薬品第1-4類、第5類(分子標的治療薬、徐放性製剤、放出制御型製剤のみ)、漢方薬および天然薬物第1-6類、治療用バイオ製品第1類、第7類とバイオジェネリック医薬品、2、化学医薬品登録分類改革実施後、新しい化学医薬品登録分類法(以下「新登録分類」と略称)に準じて申請した化学医薬品の第1-2類を含む。
(二)先発医薬品の品質、治療効果と一致するという新標準で上市承認したジェネリック医薬品。具体的には、化学医薬品登録分類改革実施後、新登録分類法で申請した化学医薬品第3-4類を含む。
(三)本試行案実施以前に上市が承認された医薬品の一部。具体的には、1、品質と治療効果一致性評価に合格した医薬品、2、試行を実施する行政区域内における医薬品生産企業が全体的に移転、もしくは買収された後全体的に移転する場合、当該企業の承認書番号を持つ医薬品を含む。
麻酔薬品、向精神薬、医療用毒性薬品、放射性薬品、予防用バイオ製品、血液製品は試行実施医薬品の範囲内ではない。
三、申請者と保有者の条件
医薬品研究開発機構または研究者が申請者と保有者になる条件は以下のとおりである。
(一)基本条件
1、試行を実施する行政区域で法律によって設立され、責任を独立に果せる医薬品研究開発機構、または試行を実施する行政区域で就業し、中華人民共和国国籍を持つ研究者である。
2、医薬品品質安全責任遂行能力を有すること。
(二)申請資料
1、資格を証明する書類
(1)医薬品研究開発機構は合法登記証明書類(会社登記簿など)のコピーの提出。
(2)研究者は身分証明書のコピー、個人信用報告書、履歴書(学歴、医薬品研究開発関係職務経歴などの情報を含む)および信用を守るための誓約書の提出。
2、医薬品品質安全責任遂行能力に関する書類
(1)研究者が薬物臨床試験を申請する場合、薬物臨床試験リスク関係責任承諾書を提出し、臨床試験を実施する前に、所在地の省レベル医薬品監督管理機関に連帯保証人と締結した担保協議書または保険会社と締結した保険契約書を提出すると承諾すること。
(2)医薬品研究開発機関または研究者が保有者になることを申請する場合、医薬品品質安全責任承諾書を提出し、医薬品を上市する前に、所在地の省レベル医薬品監督管理機関に連帯保証人と締結した担保協議書または保険会社と締結した保険契約書を提出すると承諾すること。注射剤類医薬品については、上市前に保険契約書を提出すると承諾すること。
四、受託生産企業に関する条件
受託生産企業は試行を実施する行政区域で法律に依拠して設立し、関係医薬品生産範囲内の「医薬品生産許可証」および医薬品生産品質管理規範(GMP)認証証書を持つ医薬品生産企業である。
五、申請者と保有者の義務と責任
(一)「中華人民共和国医薬品管理法」(以下「医薬品管理法」と略称)およびその他法律と法規に規定されている医薬品登録申請者、医薬品生産企業が薬物研究開発登録、生産、流通、モニタリングと評価などに関する義務を果たし、関係法的責任も果たさなければならない。
(二)保有者は受託生産企業と契約書および品質関係協議書を締結し、双方の権利、義務と責任を確定しなければならない。
(三)保有者は受託生産企業または関係資格を持つ医薬品経営企業に医薬品の販売を依頼し、販売関係要求事項を約束し、受託企業が関係法律と法規の規定に従い、医薬品出所追跡管理責任を確実に果たすよう督促しなければならない。
(四)保有者はインターネットを通じて医薬品上市許可取得の情報、医薬品添付文書、医薬品合理使用関係情報などを公開し、関係者が便利に情報チェック、確認できるよう確保しなければならない。
(五)上市承認した医薬品の使用で人身損傷になった場合、被害者は保有者に賠償を要請しても、受託生産企業、販売者などに賠償を要請してもできる。受託生産企業、販売者の責任で、保有者による賠償する場合、保有者は受託生産企業、販売者に代償金の返還を請求できる。保有者の責任で、受託生産企業、販売者が賠償する場合、受託生産企業、販売者は保有者に代償金の返還を請求できる。「中華人民共和国権利侵害責任法」などにおける規定に準じて執行する。
六、受託生産企業の義務と責任
(一)「医薬品管理法」およびその他法律、法規における医薬品生産企業関係規定に従って医薬品生産に関する義務を果たし、関係法的責任も果たさなければならない。
(二)法律に基づき保有者と約束した関係義務を果たし、関係法的責任も果たさなければならない。
七、保有者の申請
(一)新規登録医薬品
本試行案実施後の新たに登録する医薬品の場合、試行実施要求事項を満たしていると判断されるなら、申請者は薬物臨床試験申請または医薬品上市申請を行うと同時に、保有者になるための申請を行うことができる。
本試行案実施前に臨床試験申請または上市申請が受理されたが、上市が許可されていない医薬品の場合、試行実施要求事項を満たしていると判断されるなら、申請者は補充申請という形で、保有者になることを申請できる。
申請者が受託生産企業に生産を依頼する予定がある場合、医薬品上市申請または補充申請を提出すると同時に、受託生産企業の情報も提供しなければならない。
(二)上市承認した医薬品
本試行案実施前に上市承認した医薬品で、試行実施要求事項を満たしていると判断される場合、申請者は補充申請という形で、保有者になることを申請できる。
申請者が受託生産企業に生産を依頼する予定がある場合、補充申請を行うと同時に、受託生産企業の情報も提供しなければならない。
(三)変更申請
保有者による医薬品上市申請が承認された後、補充申請を行い、保有者および受託生産企業を変更できる。薬物臨床試験申請または医薬品上市申請が受理されたが、承認されていない段階で、申請者は補充申請を行い、申請者および受託生産企業を変更できる。
保有者または申請者を変更する場合、権利授受の双方は共同で権利を受ける側の所在地における省レベル医薬品監督管理機関に変更を申請し、省レベル医薬品監督管理機関による食品医薬品監督管理総局に報告し、食品医薬品監督管理総局が審査承認を行う。受託生産企業を変更する場合、保有者または申請者は自らの所在地における省レベル医薬品監督管理機関に申請し、省レベル医薬品監督管理機関による食品医薬品監督管理総局に報告する。食品医薬品監督管理総局が審査承認を行う。
(四)その他の要求事項
試行を実施する品目の承認証明書類は保有者、受託生産企業などに関する情報を記載し、保有者が関係要求に準じて自らの所在地における省レベル医薬品監督管理機関に連帯保証人と締結した担保協議書または保険会社と締結した保険契約書を提出する必要があると明記しなければならない。
試行を実施する品目の添付文書、ラベルは保有者情報、生産企業情報などを明記しなければならない。
試行期間中に発行された医薬品承認書番号は、試行終了後も、当該承認書に記載する有効期限内に引き続き有効である。
八、監督と管理
(一)上市後における監督と管理
保有者の所在地における省レベル医薬品監督管理機関は保有者および上市承認した医薬品に対する監督と管理を行う。自らの所管行政区域に所在していない受託生産企業に対しては、当該企業の所在地における省レベル医薬品監督管理機関と協力して地域を超える監督と管理を行わなければならない。保有者による医薬品品質保証、上市と関連サービス、医薬品モニタリングと評価、医薬品リコールなどの義務遂行への監督管理を強化し、保有者が厳しい品質管理システムを確立し、責任が確実に果たされるよう確保するよう督促する必要がある。
生産企業の所在地における省レベル医薬品監督管理機関は医薬品生産者が医薬品GMP関係条件を満たしたうえで行った生産に対する監督と検査を強化し、生産、経営プロセスにおけるリスクが発覚された場合は制御措置を速やかにとらなければならない。
医薬品監督管理機関が上市承認した医薬品の品質関係リスクを発覚した場合、実際の状況によって保有者および関係機関に対して面談、警告状の送付、一定期限内における改善、医薬品添付文書の修正、使用制限、医薬品リコールに対する督促、医薬品承認書番号の取消および研究開発、生産、販売、使用の中止などのリスク制御措置をとらなければならない。
(二)情報公開
食品医薬品監督管理総局は関係規定に準じて試行を実施する品目の受理、審査、承認、上市後変更などに関する情報を積極的に公開しなければならない。
省レベル医薬品監督管理機関は保有者の義務遂行状況、日常的監督検査状況と行政処罰など監督管理関係情報を積極的に公開しなければならない。
九、その他
本試行案は発表日から2018年11月4日まで実施する。試行を実施する行政区域内の医薬品生産企業は本試行案における保有者関係規定に準じなければならない。
食品医薬品監督管理総局は本試行案に関する説明責任を果たす。
(出所:CFDAサイト2016-06-06)