国弁発〔2024〕53号
出所:中国政府ウェブサイト 公布日:2025-01-03
各省、自治区、直轄市の人民政府、国務院の各部と委員会、各直属機構へ:
習近平総書記による医薬品?医療機器の規制と医薬産業の発展に関する重要な指示の精神を徹底的に遂行し、医薬品?医療機器に対する規制改革を全面的に深化させ、医薬産業の質の高い発展を促進するため、国務院の同意を得た上で、ここに下記の意見を提案していた。
一、全体的な要求
習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想に導かれ、中国共産党第20回全国代表大会及び第20期中央委員会第2回?3回全体会議の精神を全面的に実行し、科学的、法治的、国際的、現代的な規制発展道路を堅持し、質の高い発展と高レベルな安全性を統合し、医薬品?医療機器に対する規制の全プロセス改革を深化させ、医薬品?医療機器分野における全国統一大市場の構築を加速させ、国際競争力のあるイノベーション?エコシステムを構築し、中国の製薬大国から製薬強国への飛躍を促進し、高品質な医薬品?医療機器に対する国民のニーズをよりよく満たす。
2027年までに、医薬品?医療機器に対する規制の法令?法規制度がさらに整備され、規制システム、規制メカニズム、規制方式が医薬イノベーションと産業の質の高い発展のニーズによりよく応えて、革新的医薬品?医療機器の審査承認の質と効率が明らかに向上し、全ライフサイクルにわたる規制が著しく強化され、品質と安全性のレベルが全面的に向上し、医薬イノベーションと産業の発展に適応している規制システムが構築されるようにする。2035年までに、医薬品?医療機器の品質安全性、有効性、アクセシビリティが十分に保障され、医薬産業により強いイノベーション創出力とグローバル競争力があり、規制の現代化が基本的に実現されるようにする。
二、医薬品?医療機器の研究開発?イノベーションへの支援の強化
(一)重要なイノベーションを全力で支援するための審査承認メカニズムの整備。「早期介入、一企業一政策、全プロセス指導、研究と審査の連携」の要求に従い、緊急な臨床ニーズがある重要な革新的医薬品と医療機器により多くの審査承認リソースを傾斜配分し、臨床試験、登録申請、査察試験、審査承認などを含む全プロセスにおいてコミュニケーションを強化し、カスタマイズ化指導を提供する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(二)漢方薬の研究開発とイノベーションへの支援の強化。漢方薬理論、人間の使用経験及び臨床試験の組み合わせという漢方薬の特色ある審査エビデンスシステムを整備させ、医療機関が人間の使用経験データを標準的に収集?整理するためのメカニズムを構築する。漢方薬の特性に応じた漢方薬規制システムを整備させる。名漢方医の処方及び医療機関の漢方薬製剤から漢方薬新薬への転換を積極的に支持する。製品の特性に応じた新技術、新工程、新剤形を用いて既に上市している漢方薬品目を改良することを奨励する。(国家医薬品監督管理局が主導し、工業と情報化部、国家衛生健康委員会、国家中医薬局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(三)医薬品?医療機器のイノベーションに対する規格の主導的役割の発揮。国家医薬品?医療機器規格の向上行動計画を深く推進し、新技術、新方法、新ツールの規格に関する研究と転換を積極的に推進する。国家医薬品に関する規格のデータベースを整備させ、中国薬局方のオンライン版を発表し、適時に更新する。医療機器の規格システムを最適化し、人工知能や医療ロボットなどの最先端医療機器の標準化技術組織の設立を検討する。漢方医療機器の規格策定を強化する。(国家医薬品監督管理局が主導し、工業と情報化部、国家衛生健康委員会、市場監督管理総局、国家中医薬局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(四)医薬品?医療機器の知的財産権保護に関する制度の整備。一部の医薬品が上市承認された際に登録申請者が提出した、自らで取得したかつ、開示されていない試験データ及びその他のデータに対して、区分ごとに一定のデータ保護期間を付与する。条件に合致する希少疾患用医薬品、小児用医薬品、初の化学的ジェネリック医薬品及び漢方薬の独占品目に一定の市場独占期間を付与する。医薬品?医療機器における独創的な成果の特許レイアウトを加速させ、特許の質とその転換?応用によってもたらされる効益を向上させる。(国家知的財産権局、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(五)革新的医薬品?医療機器の普及?使用への積極的な支援。革新的医薬品の臨床総合評価を強化し、評価結果の分析と応用を強化する。薬学と臨床価値に基づく新規上市医薬品のメーカーの自己評価の試行を検討し、新規上市医薬品をネットワークに掲載するサービスを最適化する。基本医療保険の「基本保つ」という機能?位置づけを堅持し、医療保険の医薬品目録の調整メカニズムを整備させ、医療保険の医療消耗品目録と医療サービスプロジェクト目録の標準化を検討し、条件に合致する革新的医薬品と医療機器を手続きに従って医療保険の支払い範囲に組み入れ、医療機関の調達?使用を奨励する。多層的な医療保障システムを整備させ、革新的医薬品に対する多元的な支払い能力を高める。革新的医薬品や医療機器に関する正確で全面的な情報を積極的に一般に伝える。(工業と情報化部、国家衛生健康委員会、市場監督管理総局、国家医療保険局、国家漢方薬局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
三、医薬品?医療機器に対する審査評価の質と効率の向上
(六)医薬品?医療機器の登録申請に対する事前指導の強化。緊急臨床ニーズのある革新的医薬品の臨床試験のコミュニケーションの待ち時間を短縮する。多チャンネル、多レベルのコミュニケーションを実施し、「医薬品審査のクラウドクラス」と「医療機器審査のクラウドクラス」を運営し、審査検査サブセンターと医療機器イノベーションサービスの中央と地方の連携メカニズムの役割を発揮し、登録申請に関する規則の宣伝と解読を強化する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(七)緊急臨床ニーズのある医薬品?医療機器の承認上市の加速化。緊急臨床ニーズのある細胞?遺伝子治療医薬品、海外で既に上市している医薬品、併用ワクチン、放射性医薬品、希少で絶滅の危機にある薬材の代用品の申請品目、及び医療ロボット、ブレイン?マシン?インターフェース機器、放射線治療機器、医療用画像処理機器、革新的漢方診療機器などのハイエンド医療設備及び埋め込み型?インターベンション型ハイエンド医療機器については、優先審査承認を行う。(国家衛生健康委員会、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(八)臨床試験の審査承認メカニズムの最適化。省級医薬品監督管理部門は、申請を提出し、国家医薬品監督管理局の同意を得た上で、一部の地域で革新的医薬品の臨床試験の審査承認手続きの最適化に関する改革パイロットを実施し、審査承認期間を60営業日から30営業日に短縮する。医療機器臨床試験の審査承認期間が60営業日から30営業日に短縮される。生物学的同等性試験の届出メカニズムを最適化する。(国家医薬品監督管理局が主導し、パイロット地域の省級人民政府が協力する)
(九)医薬品追加申請の審査承認の最適化。省級医薬品監督管理部門は、申請を提出し、国家医薬品監督管理局の同意を得た上で、一部の地域で医薬品追加申請の審査承認手続きの最適化に関する改革パイロットを実施し、査察試験が必要とされる追加申請審査の所要時間を200営業日から60営業日に短縮する。原薬のマネジメントを最適化し、原薬の登録主体を法律に従って変更できる。(国家医薬品監督管理局が主導し、パイロット地域の省級人民政府が協力する)
(十)医薬品?医療器械の登録試験の最適化。医薬品の登録試験、生物由来製品のロットリリース試験、輸入医薬品の通関検査は、1ロット当たりの量を全項目試験用量の3倍から2倍に減らす。革新的医療機器の優先試験のためのグリーン通路(優先通路)を円滑にし、緊急臨床ニーズのある医療機器に対して、受入の直後に試験を実施する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(十一)希少疾患用医薬品?医療機器の審査承認の加速化。条件に合致する希少疾患用医薬品?医療機器に対して、臨床試験を免除する。希少疾患用医薬品の登録試験ロット数を3ロットから1ロットに減らし、1ロット当たりの量を全項目試験用量の3倍から2倍に減らす。製品のリスクに基づいて、輸入した希少疾患用医薬品の登録査察と市販後検査を統合的に計画し、海外での査察待ち時間を短縮する。中国でまだ登録?上市していない、かつ緊急臨床ニーズのある希少疾患用医薬品及び医療機器を特定の医療機関によって先行輸入することを模索する。国家医学センターが希少疾患用医薬品?医療機器の配備と使用を進めるよう奨励する。中国国内で同品目の製品が上市していない希少疾患用診断補助試薬を、ハイレベルの医療機関が自ら開発?使用するよう奨励する。(国家衛生健康委員会、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
四、効率的で厳格な規制による医薬産業のコンプライアンスレベルの向上
(十二)生物由来製品(ワクチン)に対するロットリリースの授権の促進。リスクを十分に評価した上で、生物由来製品(ワクチン)に対するロットリリース実施の授権を獲得できる省級医薬品監督管理部門の試験検査機関及び品目の範囲を徐々に拡大する。季節性インフルエンザワクチンなどの品目のロットリリース期間を45営業日以内に短縮する。(国家医薬品監督管理局が主導し、関連地域の省級人民政府が協力する)
(十三)ジェネリック医薬品の品質向上の促進。ジェネリック医薬品審査、査察業務のメカニズムを最適化し、製品のリスクに基づいて承認前の動的検査を強化する。委託研究開発、受託生産及び市販後変更に対する規制を強化し、情報化レベルが高く、品質保証できる、かつリスク防止?コントロール能力が強い企業が委託を受けるよう支援する。ジェネリック医薬品の品質と有効性の一致性評価を、徐々に点眼剤、貼付剤、スプレー剤などの剤型に拡大する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(十四)医薬企業の製造?試験プロセスの情報化の促進。次世代の情報技術と医薬産業チェーンの深い融合を推進し、医薬品?医療機器メーカーのデジタル化?スマート化への転換を支援する。ワクチンメーカーが製造?試験プロセスの情報化要件を全面的に実行するよう厳格に監督する。血液製品の生産情報化改造を段階的に進め、採血、受入から生産、検査までの全プロセスをカバーする情報化マネジメントシステムの構築を推進する。(工業と情報化部、国家衛生健康委員会、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(十五)医薬品?医療機器の監督?検査の効率の向上。企業向けの品質?安全性警告教育を強化し、企業が品質マネジメントシステムを全面的に整備させるよう督促する。企業と製品のリスクレベルに基づいて適切な検査頻度を定め、繰り返し検査を減らす。国家と省級の医薬品監督管理部門が、メーカーに関連する登録現場検査及び生産品質管理規範の適合性検査を協力して実施することを奨励する。第I類医療機器を同時に生産している第II類、第III類医療機器のメーカーに対して統合検査を実施する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(十六)革新的医薬品?医療機器に対する安全性監視業務の強化。革新的医薬品の上市許可保有者はファーマコビジランス?システムを確立?整備し、副作用を自発的にモニタリング?報告?分析し、革新的医薬品の市販後研究を引き続き実施するよう指導?督促する。革新的医薬品と医療機器のリスク特性に基づいて、医薬品副作用と医療機器有害事象に対するモニタリング?プラットフォームを整備させる。革新的医薬品?医療機器に対する市販後のプロアクティブモニタリングを強化する。(国家衛生健康委員会、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(十七)医薬流通という新産業に対する規制の質と効率の向上。医薬品?医療機器のネット販売の安全性リスク共同管理連盟を設立し、ネット販売における第三者プラットフォームの責任を明確にする。卸売企業が倉庫資源と輸送資源を効果的に統合し、複数倉庫の共同物流管理モデルを構築するよう支援する。許可プロセスを最適化し、小売のチェーン率を向上させる。省級炮製規範に従って炮製された漢方飲片は、規定に従って省境を越えて販売することができ、国家医薬品規格に従って製造された漢方薬処方顆粒は、直接的に省境を越えて販売することができる。(国家医薬品監督管理局が主導し、商務部、国家衛生健康委員会、市場監督管理総局、国家中医薬局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
五、医薬産業の対外開放協力の拡大への支援
(十八)国際的な共通規制ルールの転換と実施のいっそう促進。医薬品審査の技術的要件と医薬品規制調和国際会議ルールの調和を引き続き推進し、医薬品の臨床試験機関が革新的医薬品の早期臨床研究に参加することを支援し、国際多施設共同治験の実施を支援し、世界的な医薬品の中国における同期開発、同期申請、同期審査、同期上市を促進する。国際医療機器規制当局フォーラム及び世界医療機器規制整合会議の技術ガイドラインの中国における転換と実施を積極的に推進する。(国家衛生健康委員会、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(十九)生物由来製品のセグメント化された生産モデルの模索。省級医薬品監督管理部門が申請を提出し、国家医薬品監督管理局の同意を得た上で、一部の地域で製造工程及び施設設備に特殊な要求がある生物由来製品のセグメント化された生産のパイロットを実施し、抗体薬物複合体、多重多価ワクチンなどのセグメント化された生産を率先して推進する。条件に合致する海外医薬品上市許可保有者は、統一された医薬品品質マネジメントシステムの下で、自社生産または委託生産の形で、国境を越えるセグメント化された生産を実施するよう支援する。(国家医薬品監督管理局が主導し、パイロット地域の省級人民政府が協力する)
(二十)医薬品?医療機器の輸入承認の最適化。香港、マカオで既に上市している伝統的な経口中成薬の審査承認を簡素化する。輸入薬材の管理を最適化し、海外からの高品質な薬材資源の輸入を拡大する。海外で既に上市している医薬品について、中国の医薬品承認証明書を取得した後、要件を満たす承認前の商業規模バッチの製品に対して輸入販売が許可される。国内で既に上市している海外製造の医薬品?医療機器を国内生産に移行するための審査承認プロセスを最適化し、外資系企業が先発医薬品やハイエンド医療機器などを中国国内生産に導入することを支援する。(国家医薬品監督管理局が担当局である)
(二十一)医薬品?医療機器の輸出取引に対する支援。国際医薬品査察協同スキームへの加盟を加速させる。輸出販売証明書の発行範囲を、資格を有するすべての企業が製造品質管理規範に従って製造した医薬品、医療機器に拡大する。漢方薬資源に関する国際的なコミュニケーションと協力を強化し、国際的な規制政策の宣伝とコミュニケーションを積極的に実施し、臨床的優位性を持つ漢方薬の海外での登録上市を支援する。(商務部、国家中医薬局、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
六、産業の発展と安全性のニーズに応えた規制システムの構築
(二十二)規制能力の構築の引き続き強化。規制技術サポート機構の設置を最適化し、専門化チームの構築を強化し、高水準で専門性の高い技術人材を充実させる。能力が基準に達した審査試験サブセンターにより多くの職責を徐々に付与し、審査対象製品や検査対象企業の範囲を拡大し、地域産業の特性に適応している審査検査能力を着実に育成する。省級医薬品監督管理部門における医療機器審査機関及び審査担当者の能力に対する評価を推進する。各地は医薬産業発展の実際状況に応じて、地方の規制システムとメカニズムを整備させ、チームの能力構築を強化するよう奨励する。条件の整った省級医薬品監督管理部門は改革パイロットを積極的に推進し、医薬品?医療機器の審査などの業務をより多く実施するよう奨励する。(国家医薬品監督管理局が主導し、人力資源および社会保障部、各省級人民政府がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(二十三)医薬品規制科学の強力な発展。医薬品規制科学の国家重点実験室をリーダーとして、医薬品規制科学のイノベーション研究基地の構築を強化する。医薬品規制科学技術の難題解決タスクを配置?推進し、成果の転換と研究者のインセンティブメカニズムを整備させ、規制上の意思決定を支援する新しいツール、基準、方法の開発を加速させる。(科技部、国家医薬品監督管理局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
(二十四)規制情報化の構築の強化。医薬品?医療機器の規制に関する行政サービス事項(申請、受理、審査から証明書作成などまで)の全段階?全プロセスのオンライン処理を推進する。国家医薬品スマート規制プラットフォームを整備させ、品目ファイルと信用ファイルのデータ収集とキュレーションを強化し、透過的な規制の実施を模索する。医療機器固有識別子の、医療?医療保険?医薬の協同発展とガバナンスの促進における実施?応用を推進する。全チェーン医薬品トレーサビリティシステムの構築を強化し、企業の主体責任を明確にし、生産、流通、使用の全プロセスにおけるトレーサビリティを徐々に実現する。(国家医薬品監督管理局が主導し、国家発展改革委員会、工業と情報化部、国家衛生健康委員会、国家医療保険局がそれぞれの責任分担に応じて担当する)
各地方、各関係部門は、党の指導を堅持し強化することを、医薬品?医療機器の規制改革の各側面と全プロセスにおいて遂行し、改革によって医薬産業の質の高い発展を促進することの重要な意義を十分に認識し、「四つの最厳」の要求に従って、本意見の徹底?実行に力を入れなければならない。関係部門は協力を強化し、業務の相乗効果を醸成し、資金と人材の保障を強化し、各タスクの実行?徹底を推進し、各政策?措置の実効を確保しなければならない。重大事項は速やかに党中央、国務院に報告して指示を仰ぐ。
国務院弁公庁
2024年12月30日